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『三菱の4WDが圧倒的に強い理由』パリダカ王者 増岡浩氏インタビュー

兵庫三菱Web編集局 | 記事・取材・撮影 : N.Yokoyama
配信日 : 2016年2月20日 17時30分 JST

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(三菱4WDキット体感試乗会チーム 左から落合雄一氏、西垣則良氏、増岡浩氏、小湊春幸氏)

兵庫三菱WEB編集局インタビュー企画、記念すべき第1回目は、世界一過酷なモータースポーツと言われるダカール・ラリー(通称:パリダカ)で2002年、2003年と日本人初となる2連覇の快挙を成し遂げた増岡浩氏のインタビューです。2016年2月13日に兵庫三菱本社特設会場で行われました4WDキット体感試乗会のドライバーとしてお越しくださった機会にお話を伺うことができました。世界的なラリードライバーでもあり、三菱車開発のキーパーソンでもある増岡浩氏に、三菱4WD技術が強い秘訣、PHEVの魅力などいろいろお聞きしてきました。

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以下、増岡浩氏インタビュー全文

『幼い頃から自宅にジープがある生活。四輪駆動車の魅力にはまっていった』

ーーー本日はお忙しいなかありがとうございます。インタビューどうぞよろしくお願いいたします

 「こちらこそどうぞよろしくお願いします。」

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ーーー増岡さんはラリードライバーとして世界的に有名ですが、改めて自己紹介をお願いできますか

 「はい、増岡浩です。いま現在は三菱自動車の経営企画本部、広報部、開発本部に所属しています。もともとはラリードライバーとして、ダカール・ラリー(パリダカ)などの活動を22年間やってきました。いまは三菱自動車の社員として国内・海外の試乗会やイベントなどに参加しての広報活動や、開発面では、テストドライバーの育成、製品デザイン・性能の評価等に携わっています。」

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ーーー増岡さんがモータースポーツ業界で活動されはじめた経緯など、これまでのキャリアについて教えてください

 「幼い頃から車に興味を持っていまして、というのも実家が木材業を営んでいて山林での仕事が多く、家にはジープがありました。父の運転するジープの隣によく乗っていたんです。そこからある程度の年齢にきて一番最初に興味を持ったのが四輪駆動車。山の中のオフロードをどこでも縦横無尽にたくましく走る四輪駆動車に惹かれて、その魅力にはまっていきましたね。」

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ーーー環境の影響が大きかったんですね

 「そうですね、ある意味すごく環境にも恵まれていました。免許を取得して初めて買った車もジープ。19歳でオフロードレースにデビューしたんですが、その時は三菱ジープJ58という車で、デビュー戦で総合2位を取ることができたんです。ベテランの強者揃いのなか当時19歳での2位でしたので、それで注目されたということはあると思います。」

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『三菱との出会いは初代パジェロ』

ーーー三菱自動車との出会いは

 「ちょうど21歳(1982年)の時に三菱から初代パジェロが発売されました。それまでの四輪駆動車(4WD)というと、作業車のイメージが強かったんですが、パジェロはそのイメージを覆し、そのパジェロが火付け役となって**RVブームがきまして各メーカーから様々なRVが発売されました。その時に、パジェロをより知ってもらうためにということで、三菱チームから声をかけていただきました。デビュー戦で総合2位を取ったことで注目いただいたのだと思います。それからずっと三菱で、33年くらいかな、初代パジェロから、チャレンジャー、RVR、アウトランダーPHEVなど三菱のクルマでいろんなモータースポーツやイベントに参加させてもらっています。」

**当時は四輪駆動車を総じて[RV]と呼ぶことが多かった

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ーーー増岡さんはパリダカで日本人初の2連覇達成。そして、三菱自動車としても2001年からの7連覇を含む12度の総合優勝。強さの秘訣は

 「一言でいうとトータルバランスに優れているということだと思います。瞬発的にはうちより速いクルマはあるわけですけど、1万km以上もの距離を最後までノントラブルで走らないと勝てないわけです。そういった意味で、三菱の強さ、パジェロの強さは、耐久性もスピードもあって、もちろんチームワークもあって、トータルでの強さが三菱にはあります。」

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ーーーチームワークというと具体的にどういった部分ですか

 「パリダカの場合なんで三菱が強かったかというと、1万km完走するために毎日走り続けるわけで、極限状態のなかチームとしての総合力が試されます。競技という観点からみると、クルマの整備性の部分でも、短時間で整備が終わるための様々な工夫がされています。」

 「例えば、他のチームは1日走り終えると、次の日の朝まで整備・点検してクルマを送り出すわけです。三菱は、夜のうちに整備終わっちゃうんですよ。そうするとメカニックもすごく楽なわけで、自然とミスも減ります。整備が早く終わるので休養もしっかり取れますので、体力的にも常にベストコンディションで、チームにも余裕が出てきます。そういう部分が結果につながったんだと思っています。」

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『三菱の4WDはパジェロとランサーのDNAを受け継いでいる』

ーーーパジェロはパリダカで前人未到の7連覇も達成しています。三菱の四輪駆動(4WD)の強さの秘訣は

 「三菱はラリーでずっと戦ってきて、そのたびに改良して、進歩しています。パジェロはクロスカントリー系のラリー、ランサーはラリー選手権のラリーですね。パジェロは、砂漠のような道のないところを走りきるための駆動力ある走破性。ランサーは、いかにカーブを早く曲がり切るかといったスピードある旋回性。同じ四輪駆動でもそれぞれまったくの別物なんです。」

 

 「通常、走破性を高めれば高めるほど旋回性は落ちていくなどの問題が発生してくるわけですが、三菱のクルマはこの両方がバランス良く融合されているという点で、他にはない四輪駆動の技術を実現しています。三菱は競技に参加すれば必ず勝つまでやります。自分たちが作ったクルマのどこが良くてどこが悪いのか、勝つまで改良していきます。もちろん、そういったものは市販車の開発へフィードバックされていきます。いまは時代も変わってきていて、クリーンディーゼルやPHEV、電気自動車なんかも増えてきていますが、三菱車の四駆は、デリカD:5、RVR、アウトランダーPHEVもすべて、過酷なラリーで鍛え抜かれた初代パジェロのDNAを受け継ぎ、ランサーの技術を融合させています。それが三菱の4WD(四輪駆動)技術が圧倒的に強い理由です。」

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ーーー市販車へのフィードバックや、実際の開発に携われているわけですが、現在の開発状況や課題はありますか

 「今の時代ある程度はコンピュータでできちゃうわけです。でも、最終的に仕上がってきたときに、ほんとにそれが心地よいクルマなのかどうなのかという部分は、すごく繊細な部分で、最後は人が判断しないといけない。テストドライバーですね。ですので、テストドライバーの質を上げていかないと良いクルマができません。優秀なテストドライバーの育成というのは重要な課題のひとつとして取り組んでいます。」

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『世界を引っ張っていけるようなEVやPHEVを作っていきたい』

ーーー三菱はSUVとPHEVに絞って勝負していくんでしょうか

 「地球は広くて、必要な地域に必要なクルマを届ける。それが一番大事だと考えています。それが本当の意味でのハイブリッドなのかなと。例えば、PHEVやEVなんかは、日本やアメリカ、ヨーロッパ、中国などでは普及が進んでいますし、間違いなく必要なクルマだと思いますが、アフリカや新興国なんかではクリーンディーゼルのクルマが必要とされていたりします。」

 

 「ただ、環境に優しいクルマというのは今の時代では特に重要です。そして、クルマは走る楽しみを与えてくれるものでもありますので、そういった部分も大切にして、勝負していきます。」

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ーーーEVでは、テスラモーターズが台頭してきていますが

 「アメリカのベンチャーですね。EVを開発しているのはすごく良いことだと思います。ただ、どこのメーカーもそうだと思いますが、EVは航続距離がすごく重要で、電気自動車専用のバッテリーをどうするかという課題はあると思います。航続距離が長くても耐久性がない電池だと、バッテリーが消耗するたびに走れる距離はどんどん短くなっていきますし、パワーが出なくなってくる。三菱はそこを解決できるバッテリー開発に力を入れていますし、現時点では、PHEVが一番時代にマッチしているのかなと思います。航続距離が長いので、充電切れで走れなくなるということもありません。」

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ーーーEVの開発状況はどうなんでしょうか

 「開発のメインはPHEVです。今のEV(電気自動車)でできること、すなわちリチウムイオンバッテリーとモーターでできることは限界まで知り尽くしました。ここから先は次世代バッテリーが必要になりますので、それを待っている状況です。次世代バッテリーがくれば、もっと軽くて早いクルマができます。一度の充電で400km走れるような、それでいて耐久性にも優れたバッテリーがくれば、一気に電気自動車の時代がくると思います。」

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ーーーPHEVの魅力は

 「PHEVはモーターメインで走るので静寂性があって快適です。アウトランダーPHEVの場合はツインモーターで4WDの力強さもあり、燃費もいい。さらに、相川社長もよく言っていますが、止まっていても価値のあるクルマ。それがPHEVの魅力のひとつです。電源を取り出せるという部分です。ホットプレートなんかも使えて調理できるわけですから、アウトドアキャンプでも威力を発揮してくれますしね。」  

 「そして、PHEVをさらに進化させるべく、去年からPHEVでラリーに参戦しています。ゆくゆくはアウトランダーPHEVでダカールラリー(パリダカ)を完走したいですね。ダカールラリーはまだEVやPHEVでは完走していないんです。あの世界一過酷なレースを完走できるような、世界を引っ張っていけるようなEVやPHEVを作ることを目指してやっていきたいですし、そうすることで市販車にもフィードバックしていけるわけですので、モータースポーツ活動は今後も積極的に続けていきたいと考えています。」

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ーーー最後に

 「三菱のクルマは本当にしっかりしています。安全性、信頼性、走破性、すべてのレベルが高い。四輪駆動車はたくさんありますが、身近なところであれば大雪であったり、冠水した道路であったり、雪国やどんな悪路でも安全に走りきることのできる三菱の4WD技術は他には真似できないものです。自信をもってお客様には提供していきたい。」

 

 「今回のイベントにも使用しているデリカD:5だと2.2Lクリーンディーゼルタイプで、ガソリン車3.5〜4.0L相当のトルクが出ます。こういったイベント(4WD登板キット試乗会)を全国各地で行っていますのも、三菱車の安全性や走破性を体感いただきたいからです。SUVは大切な人や大切な荷物をたくさん乗せて運びますよね。そういった部分で、安全性を最優先で、家族を守るための、安全に目的地まで人や荷物を届けるための堅剛なボディや4WD技術、快適な車内空間を実現するための工夫が三菱車には詰まっています。それを、今後もっと多くの方に伝えていきたいですね。」

インタビュー記事 ここまで

■取材後記

イベントの合間の時間をいただいてインタビューさせていただきましたが、時間リミットぎりぎりまで快くインタビューに応じてくださいました。この日は、デリカD:5で傾斜45度を登板するという試乗会だったのですが、あいにくの雨。そんな悪条件をものともせず急坂登板を完遂。三菱の四駆技術とドライバーの技術が合わさってこそできる芸当であると思いますし、こういった天候の悪条件のなかでこそ性能を発揮するという意味では、良いPRにもなっていたんじゃないでしょうか。イベントは定期的に実施しておりますので、ぜひ一度足を運んで体感いただければと思います。次回また、増岡さんにインタビューさせていただける機会があれば、もっと突っ込んだことを色々お聞きしたいなと思いました。

デリカD:5でのイベント模様

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