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街レポ#19『あしや芸術祭』芦屋美術博物館|芸術の街 "芦屋" 世界が注目する"GUTAI"とは?

兵庫三菱Web編集局|記事:M.Hayakawa
配信日:2019年10月31日20時00分 JST

関西の高級住宅街として有名な兵庫県芦屋市。
実は、あまり知られていませんが、芸術の街でもあります。
海と山に囲まれた自然豊かな土壌は、芸術家たちの創作活動に最適だったのでしょう。

芦屋の成り立ち

芦屋や西宮などの大阪と神戸の間の地域は、一般的に『阪神間』と呼ばれています。 阪神間は、約100年前、産業の中心地として栄えた大阪の富裕層の郊外住宅地として開発された地域です。
富裕層が移り住んだ阪神間では、西欧の影響を受けた近代的な『阪神間モダニズム』というライフスタイルが確立され、現代にもつながっています。そんなライフスタイルの中で、多くの芸術家が育ち、独自の芸術も生まれました。

芦屋発!具体美術協会

『具体』って知っていますか?
『具体』とは、1954年に芦屋で結成された『具体美術協会』(具体美術、具体、GUTAI)のアート活動のことで、今世界的に評価されてきています。
具体美術協会は、リーダーの吉原治良『これまでにないものを作れ!』という指導のもと、今まで誰も考えたことのないような斬新な作品を数多く発表しました。
パフォーマンスや野外での作品発表など、それまでの芸術の既成概念を打ち破りました。当時はまだ型にはまった芸術が評価される時代で、今でこそ、自由な芸術表現が当たり前になっていますが、当時の人々からすると画期的でした。
具体美術協会は、吉原の死を境に解散されましたが、 ひたすらに新しいことを追求した『具体』は、今もなお人々を惹きつけてやみません。

抽象的な絵なのに、なぜ『具体』なのでしょうか。
吉原は、抽象的な作品で、精神の自由を具体的に表現することを目標としていました。『精神の自由を具体的に表現する』から『具体』なのです。
さらに、なぜ『抽象的な作品』である必要があったのかというと、世界に通用するためです。吉原は、当時から世界基準で考えており、『抽象』こそ、世界共通の視覚言語だと考えていました。

芦屋市立美術博物館

芸術に深い関わりを持っている芦屋には、『芦屋市立美術博物館』があります。

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芦屋市伊勢町にある、美術部門、歴史部門を併せた複合施設です。
芦屋の自然や歴史を目で見て体験する身近な文化施設を目指しているそうで、今年で第65回目となる、伝統的な公募展『芦屋市展』も開催しています。(芦屋市展は誰でも応募することができます)
様々な取り組みで、親しみやすい側面もありながら、実は、かなり貴重な作品の数々を所有しているすごい美術館なのです!
なんと、先ほどご紹介した『具体美術協会』の重要な作品のほとんどを所有しているのです!!さらに、近代日本洋画を代表する、小出楢重のアトリエの復元があり、愛用の画材など様々な遺品や資料を展示しています。

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現在、芦屋市立美術博物館では、菅井汲の生誕100年の特別展示も行なっています。
菅井汲は、神戸出身で、世界的に最も高く評価されている日本人画家のうちの一人です。
愛車のポルシェで高速走行している際に浮かぶビジョンを制作のモチーフにしていて、円や線を組み合わせた、単純化された版画が有名です。菅井は、現在、芦屋市立美術博物館で開催されている『芦屋市展』の第4回で芦屋市教育委員会賞を受賞し、そこから徐々に芸術家として活躍していきました。

あしや芸術祭

美術史上極めて重要な存在の『具体美術協会』など、芸術に深いルーツを持っている芦屋では、現在あしや芸術祭が開催中です。
アートを気軽に楽しんでほしい、また阪神間の芸術を再び盛り上げたいという思いのもと開催されています。
芦屋美術博物館も、芸術祭の会場となっていて、小学生対象のワークショップが開催されます。(予約優先、参加費500円) 芦屋出身の若手アーティストの中北紘子さん、Ahhichoiさんとともに一つの作品を作ります。(詳細リンク) ワークショップに参加がてら、現在公開中の、菅井汲の展示や芦屋市展の展示なども観覧することができます。(入場無料)

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