テスラ全車種 - デザインと価格【Road ster / Model S / Model X / Model 3 / Model Y / Cybertruck】
兵庫三菱Web編集局 | 記事 : N.Yokoyama
更新 : 2021年4月8日 19時30分 JST
最近、ニュースなどで名前を聞くことの多い『テスラ』。これまでテスラ社自体についてや、同社CEOのイーロン・マスクを紹介する記事を書いてまいりました。今回はいよいよ、テスラの電気自動車(EV)のラインナップ8種類(生産終了・販売予定も含む)のデザインや価格の解説と、テスラ流の販売戦略を紹介します!
テスラの電気自動車(EV)ラインナップ
- Model S(モデル・エス)(セダン)
- Model X(モデル・エックス)(SUV)
- Model 3(モデル・スリー)(セダン)
- Model Y(モデル・ワイ)(SUV)
- 初代Road ster(ロードスター)(スポーツカー)(生産終了)
- 第二世代Road ster(ロードスター)(スポーツカー)(発売予定)
- Cybertruck(サイバートラック)(ピックアップトラック)(発売予定)
- Semi(セミ)(商用トラック)(発売予定)
テスラについて軽くおさらい
自動車業界の革命児!
テスラは、「持続可能なエネルギーへ世界のシフトを加速すること」をミッションとして電気自動車(EV)を生産する、アメリカの自動車メーカーです。CEOは、決済サービスPaypalなどを生んだ天才起業家イーロン・マスク。彼の指揮のもと、テスラは業界の常識を覆すようなEVを開発し続けてきました。最大の特徴はコストパフォーマンスです。スーパーカー級の性能や最新の自動運転を搭載しながら、最安で430万円と、意外と価格が抑えられています。これにより、ガソリン車と比べなかなか普及の進まないEV市場を、こじあけるように開拓してきました。
時価総額世界8位の急成長
躍進を見せるテスラに、世界中からの期待が集まっています。 2020年7月、驚くべき出来事が起きました。テスラが、あのトヨタの時価総額を抜いたのです。時価総額とは、その企業の価値や期待が反映されるもの。テスラの販売台数はトヨタの1/30程度にすぎませんが、時価総額で抜いてしまったのです。そして2021年春現在、テスラの時価総額はなんと世界8位の70兆円に到達。日本の税収とおおよそ同じくらいの金額です。テスラより上位の企業は、googleやフェイスブック、アップルなどの巨大IT企業ばかり.また、トヨタなど他の主要自動車メーカー5社の時価総額の合計よりも、テスラ1社の数字のほうが大きいです。こう聞くと、世界のテスラへの注目度や規模感が伝わったでしょうか。
世界時価総額ランキング(2021年4月末時点)
- アップル 約238兆円
- マイクロソフト 約206兆円
- サウジアラムコ 約204兆円
- アマゾン 約189兆円
- アルファベット 約171兆円
- フェイスブック 約100兆円
- テンセント 約83兆円
- テスラ 約74兆円
主要自動車メーカーの時価総額(2021年5月時点)
- トヨタ 約27.0兆円
- フォルクスワーゲン 約15.9兆円
- ダイムラー(ベンツなど) 約10.3兆円
- BMW 約7.2兆円
- ホンダ 約6.0兆円
5社合計66.4兆円
テスラの販売戦略
「広告費ゼロ」で自動車業界に殴り込み
では、テスラはどうやってここまでの人気を築いていったのか。それは「広告費ゼロ」の独特な販売戦略よるものでした。テスラの最初のEV『Roadster』が発売されたのは、EV市場がほとんど未開拓だった2008年。まだ日産リーフや三菱i-MiEVといった日本製EVもなかった頃です。しかしテスラは、まずターゲットを高額所得者に絞り、『Roadster』『Model S』など価格1,000万円以上の高級EVを開発・販売しました。結果、エコ志向の強いハリウッドセレブ(レオナルド・ディカプリオやマット・デイモンなど多数)たちがこぞってそれまで乗っていたプリウスからテスラに乗り換えていきます。すると、それ自体が全世界に向けた凄まじい広告効果を生み出しました。これによりブランドの認知度を爆発的に高めた上で、次は大衆化に舵を切ります。培ったノウハウを活かし、高性能かつ買い求めやすい価格を実現し一気にシェアを拡大していきました。2017年には、価格400万円程度の『モデル3』を発売し、大人気を博します。現在もカリフォルニアでは、モデル3がガソリン車も含めた販売台数ランキングで3位にランクイン中。いくらEVに有利な制度の多いカリフォルニアとはいえ、EV市場は全体の5.6%程度です。テスラは唯一無二の地位を築くことに成功しました。
保有するすべてのEV技術特許を公開!
テスラは2014年、電気自動車(EV)製造に関して保有するすべての特許を公開しました。イーロン・マスクCEOは「誠意を持って我が社のテクノロジーの使用を望む企業に対し、特許侵害訴訟を提起することはない」と発言。これは、他メーカーのEVと戦うのではなく、戦うべきは他社の持つガソリン車の莫大なシェアだという判断です。つまり、特許を公開することで他大手メーカーや新規参入企業の電気自動車(EV)開発スピードを早め、世界規模での普及を加速させていくことが最終的には自社の利益にもつながるという考えでしょう。2014年当時、EVのシェアは全世界の新車市場のうち、1%にも達していませんでした。それが、2021年現在は3.6%ほどに伸びています。テスラの特許公開を活用した企業もあったのではないでしょうか。
マツダやVWでも活躍したデザイナーによるデザイン
テスラが世界的なメーカーになったのは、前例にとらわれないデザインの影響も大きいでしょう。テスラのチーフデザイナーを務めるのは、フォルクスワーゲン、ゼネラル・モーターズ、マツダなどでキャリアを積んできたフランツ・フォン・ホルツハウゼンです。初代ロードスターを除き、全てのテスラ車をデザインしてきました。
テスラ車は全体的に、フロントグリルを無くしたりドアにハンドルを埋め込んだりと、EVならではのなめらで近未来的なデザインが特徴的です。また、インテリアはシンプルの極み。インパネにはハンドルと、エアコンやモード切替などすべての操作を集約した巨大ディスプレイ以外何もありません。加えて、ほとんどのモデルがガラスルーフで、開放感があります(暑いとの意見も)。徹底して無駄を排除しています。
では、前置きが長くなりましたが、テスラのラインナップ全8車種のデザインや価格、性能を見ていきましょう!
Model S
- 車名
- Model S(テスラ・モデルエス)
- グレードと価格
- ロングレンジ:1,069万円 PLAID:1,499万円 PLAID+:1,799万円
- 発売
- 2012年6月
- 種別
- ミドルセダン 4WD
- 航続距離
- ロングレンジ:663km PLAID:628km PLAID+:837km
- 0-100km/h加速
- ロングレンジ:3.2秒 PLAID:2.1秒 PLAID+:2.1秒
- 世界累計販売台数の推移
- 2017年:54,715台、2018年:50,045台、2019年:28,248台、2020年:不詳
モデルSは、現行のテスラ車の最高級モデルのセダンです。
なかでもモデルSの最高グレード「Plaid(プレイド)+」は、現行最強の性能を持つEV。0-100km/h加速に関しては、ガソリン車を含め世界で6番目の性能です。
2021年2月にはインテリアの大幅リニューアルが。主な変更点は、縦型だったタッチスクリーンが横型になったこと。そしてなんと、ハンドルが円形ではなくなったことです。円の上下を削った楕円形のような形状は、普通のハンドルよりも前方がみやすいそうです。
Model X
- 車名
- Model X(テスラ・モデルエックス)
- グレードと価格
- ロングレンジ:1,169万円 PLAID:1,499万円
- 発売
- 2015年
- 種別
- ミドルSUV 4WD
- 航続距離
- ロングレンジ:580km PLAID:547km
- 0-100km/h加速
- ロングレンジ:3.9秒 PLAID:2.6秒
- 世界累計販売台数の推移
- 2017年:46,535台、2018年:49,349台、2019年:39,497台、2020年:不詳
モデルXは現行のテスラ車で二番目に価格の高い、7人乗りのSUV。全長は5mを超えます。
モデルXの特徴は、後部座席ドアが上に開く「ファルコンウィング」です。かがむ必要がない上に、30cmという狭いスペースで開閉できて乗り降り簡単。壁にぶつからないよう開き具合は自動で調整してくれます。これには、5人の子供を持つテスラCEOイーロン・マスクの思いが反映されているそう。
またモデルXもモデルS同様、2021年2月に横型ディスプレイと新型ハンドルにリニューアルされています。
Model 3
- 車名
- Model 3(テスラ・モデルスリー)
- グレードと価格
- スタンダードレンジ プラス:429万円 ロングレンジ:499万円 パフォーマンス:717万円
- 発売
- 2017年
- 種別
- コンパクトセダン RWD/4WD
- 航続距離
- スタンダードレンジ プラス:448km ロングレンジ:580km パフォーマンス:567km
- 0-100km/h加速
- スタンダードレンジ プラス:5.6秒 ロングレンジ:4.4秒 パフォーマンス:3.3秒
- 世界累計販売台数の推移
- 2018年:145,846台、2019年:300,075台、2020年:365,240台
Model 3(テスラ・モデルスリー)は、最もリーズナブルなテスラ車。モデルSやXよりも大衆向けのモデルです。車体も日本にフィットするサイズ感です。
「パフォーマンス」が「ロングレンジ」より航続距離が短いのは、同じバッテリー容量に対してシステムやモーターの性能が高いためです。そのため加速や最高速度は「パフォーマンス」が優れています。
モデル3は日本で、2021年2月に最大156万円値下げされ、429万円〜となりました。ホンダやマツダのEVは価格451万〜で航続距離は300km未満。となると、モデル3の優位は明白に思えますね...!
Model Y
- 車名
- Model Y(テスラ・モデルワイ)
- グレードと価格
- スタンダードレンジ:4万1990ドル ロングレンジ:4万9990ドル パフォーマンス:5万9990ドル(日本では未発売)
- 発売
- アメリカでは2020年初頭。日本では未定。
- 種別
- コンパクトSUV 4WD
- 航続距離
- スタンダードレンジ:390km ロングレンジ:520km パフォーマンス:480km
- 0-100km/h加速
- スタンダードレンジ:6秒 ロングレンジ:5.1秒 パフォーマンス:3.7秒
- 世界累計販売台数の推移
- 2020年:79,734台
モデルYは、日本では未発売の中型SUV車です。モデルXよりコンパクトながら最大7人乗りのモデルです。モデル3と同じく大衆向けで、部品の7割はモデル3と共通だそう。SUVはアメリカでは非常に人気の分野で、テスラとしてもモデルY投入を「過去最大のチャンス」と捉え、生産拡大を進めているようです。
Roadster(テスラ・ロードスター)
- 車名
- Roadster(テスラ・ロードスター)
- 価格
- 1,276万円〜
- 発売(日本)
- 2010年5月 / 既に生産終了
- 種別
- スポーツカー
- 最大航続距離
- 394km
初代ロードスターは、現任のフランツ・フォン・ホルツハウゼンがデザイナーに着任する前の、テスラ初のEVです。イギリスのスポーツカーメーカー「ロータス」の援助を受けて開発されました。ハリウッドセレブなどに人気を博し、テスラのブランド力を押し上げた車です。 ちなみに、2018年に、同じくイーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発企業『スペースX』が、ロケットに初代ロードスターを載せて打ち上げ。ロードスターは、今後半永久的に太陽の周りを回り続けるそうです。なんて話だ!
第二世代Roadster(テスラ・ロードスター)
- 車名
- Roadster(テスラ・ロードスター)
- 価格
- ベースモデル:¥ 2,270万円、ファウンダー シリーズ:¥ 2,840万円(予定)
- 発売
- 2022年
- 種別
- スポーツカー AWD
- 最大航続距離
- 394km
航続距離1,000kmで最高速度400km/hという驚愕の性能が目を引きます。デザインも初代から大きく変更。高級スポーツカーらしい出で立ちですが、こうみえて4人乗りです。ガラスルーフは取り外し・収納ができ、オープンカー仕様にもできます。
価格は初代の倍以上で、予約するだけで2,000万円が必要という攻めの姿勢です。ちなみに、記載の情報は「ベースモデル」のもの。上位モデルの「ファウンダーシリーズ」は、今のところ詳しい情報は出ていないため、注目です。
Cybertruck
- 車名
- Cybertruck(サイバートラック)
- 価格
- 1モーター+RWD:3万9900ドル(約435万円)、2モーター+4WD:4万9900ドル(約545万円)、3モーター+4WD:6万9900ドル(約760万円)
- 発売
- 2022年終盤の生産開始を予定
- 種別
- ピックアップトラック RWD/4WD
- 最大航続距離
- 1モーター+RWD:400km、2モーター+4WD:483km、3モーター+4WD:805km
- 0-96km/h加速
- 1モーター+RWD:3.9秒、2モーター+4WD:4.5秒、3モーター+4WD:2.9秒
サイバートラックは、火星探査機のような見た目ですが、実は乗用車のピックアップトラックです。1983年公開のSF映画の金字塔『ブレードランナー』の世界を意識してデザインされた車体は、規格外の耐久性。なんと装甲ガラスやロケット用と同じステンレス鋼が使われています。
加速力などの性能もスーパーカー並ですが、価格は435万円〜と意外にも控えめです。あまりに大胆なコンセプトのため、人気は得にくいと予想されましたが、発表後約3ヶ月で約53万5000台が予約済みに。モデル3が発表後5ヶ月でようやく51万8000台に達したことと比べると、その人気ぶりがわかります。また、最安のモデルの予約は全体のわずか17%程度で、高価なモデルが人気である点も、ファンのサイバートラックへの期待値を物語っています。ただし、予約に必要なのは、払い戻し可能の100ドルだけなので、実際に売れる数字とは限りませんので、今後の動向に注目です。
セミ
- 車名
- Semi(セミ)
- 価格
- 15万ドル(約1600万円)/18万ドル(約2000万円)
- 発売
- 2021年終盤の生産・販売開始を予定。日本では未定。
- 種別
- セミトラック/RWD
- 最大航続距離
- 483km/805km
こちらは乗用車ではなく、トレーラーなどを牽引する大型EVトラックです。運転席が中心に据えられ、両サイドに大型ディスプレイという、運転士に寄り添いつつも大胆な設計。すでに大手物流「UPS」から125台、世界最大のスーパーチェーン「ウォルマート・カナダ」から180台の注文も入っているそうで、EVトラックの需要も増えているようですね。