『燃料電池車は馬鹿げている』テスラCEOが燃料電池車を批判
あけましておめでとうございます。今週の特選ニュース、新年一発目の更新となります。毎週金曜日の更新になりますので今後ともよろしくお願い致します。今号は、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)についての話題を。
テスラCEOイーロン・マスク氏、燃料電池車(FCV)を批判
■「燃料電池車ばかげている」 テスラのマスクCEOが批判(毎日新聞)
北米国際自動車ショー開催中のデトロイトでの記者会見において、北米トヨタ自動車CEOジェームス・レンツ氏が電気自動車(EV)を批判するコメントを発したのを受け、テスラモーターズのCEOイーロン・マスク氏はそれに応酬するように燃料電池車(FCV)を批判するコメントを発し、次世代自動車競争を盛り上げてくれています。それぞれのコメント内容は以下の通りです。
ジェームス・レンツ氏の発言内容
「EVは必ずしも長く走れるクルマではない」と述べた。EVが充電に数十分~数時間かかるのに対し、ミライの燃料補給が3分程度で終わることも指摘し、CFVの優位性を強調した。
イーロン・マスク氏の発言内容
マスク氏は水素の引火しやすさや貯蔵の難しさを指摘し、「解決は難しく、極めて非効率だ。理に合わない」と主張。同社は2015年に約5万台の生産を計画するが、10年後までには数百万台を生産するとし、EV市場の拡大を予測した。
それぞれ、EVとFCVの持つ課題を端的に指摘し合っています。EVの充電時間の問題点については、これを解決するために、航続可能距離の長い自動車の開発、充電施設の拡大、充電ではなくバッテリーそのものを交換する、などの方法での改善見込みが立っています。近い将来においては問題点ではなくなると思います。
そんななか、先日トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)の特許無償解放を宣言し、ニュースになっていましたので、その話題を。
テスラモーターズに続き、トヨタ自動車も特許無償解放
■トヨタ燃料電池車の特許無償開放に日系自動車メーカー各社から驚きの声(ロイター)
■トヨタが異例の戦略、FCV特許開放の必然(東洋経済新聞社)
■EVベンチャー、テスラが特許を開放する狙い(東洋経済新聞社)
トヨタ自動車が燃料電池者(FCV)の特許を解放したことが各メディアで取り上げられていました。テスラモーターズも昨年、EV開発特許に関して無償解放を宣言していましたので、トヨタ自動車がこの流れに続いた格好となっています。特許を解放することにより参入障壁を低くし、市場全体のパイを広げる戦略であるのは両社共通しています。が、一見、トヨタ自動車とテスラモーターズの特許解放は同じに見えるようで実はぜんぜん違うようです。トヨタとテスラの特許解放の違いについて、詳しくは、知財ビジネスを扱う専門家の方のブログにて わかりやすい説明がありましたので右にリンクでご紹介しておきます→特許無償開放 トヨタ自動車とテスラの違い(ipfbiz.com)。簡単にまとめると、両社の特許解放に関しての違いは以下の通りとなります。
トヨタ自動車 - FCV技術特許解放について
- 特許の数 - 約5,600件
- 特許解放の方法 - トヨタへの手続き・契約書締結を経て条件付で特許が利用可能
- 特許解放の期限 - 2020年迄
テスラーモータース - EV技術特許解放について
- 特許の数 - 約200件
- 特許解放の方法 - 信義誠実な利用目的であれば自由に特許を利用可能
- 特許解放の期限 - 無期限
まとめ
以上を見ると、同じ特許無償解放といっても、両社の戦略や思惑はまったく異なることがわかります。テスラモーターズは純粋にEV市場拡大のみを目的に特許を解放しているのに対して、トヨタ自動車は、特許解放に期限を設け、ある程度FCVが普及しているであろう2020年以降は、ライセンス収入を得ようという戦略となっています。両社の戦略の違いが将来の普及にどういった影響が出てくるのか現時点ではわからないですが、次世代自動車競争が俄然面白くなってきそうです。
兵庫三菱編集局 ライター 2015-01-16