テスラモーターズ / 天才経営者イーロン・マスク率いる電気自動車メーカー(2)
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テスラモーターズ CEO - イーロン・マスクとは?
前回は、テスラモーターズと、同社CEOのイーロン・マスクについてざっくりと書きましたが、今回の記事ではイーロン・マスクをもう少し深く解剖していきたいと思います。2014年現在43歳になるイーロン・マスクですが、彼の生い立ちを年表で見ていってみます。
- 1971年
- 南アフリカ共和国・プレトリアで出生
- 1981年
- 【10歳】パソコンを購入、独学でプログラミングを勉強
- 1983年
- 【12歳】「Blaster」といわれる対戦ゲームソフトを開発し500ドルで販売
- 1986年
- 【15歳】母親の母国カナダへ単身移住。農場や製材所で清掃の仕事をしつつ、トロントへ引っ越しクイーンズ大学に入学。その後、アメリカのペンシルベニア大学に奨学金を得て編入
- 1995年
- 【24歳】高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学院に進むが学ぶことは何もないと早々に見切りをつけ2日で退学。弟とオンラインコンテンツ出版ソフトを提供する『Zip2』を創業する。のちにコンパック社へZip2社を3億700万ドル(約350億円:当時レート)売却。2200万ドル(約25億円:当時レート)を手にする
- 1999年
- 【28歳】オンライン金融サービスと電子メールによる支払いサービスを行う『X.com』を共同設立。1年後にConfinity社と合併し、これが2001年に『PayPal』となる。PayPal社はeBay社に15億ドル(約1,800億円)で売却、1億7,000万ドル(約200億円)を手にする
- 2002年
- 【31歳】宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発する『スペースX』を設立。2014年現在、同社のCEO兼最高技術責任者
- 2004年
- 【33歳】『テスラモーターズ』に個人資産から80億円を出資し、同社の会長となる。2007年には同社のCEOに就任。2009年に『テスラモーターズ』は米ナスダックに上場。自動車メーカーの上場はフォードから実に54年ぶりの快挙
- 2006年
- 【35歳】従兄弟と『Solar City』を設立。会長に就任。この5年後にはSolarCityを米ナスダックに上場させる。SolarCityは現在、アメリカの太陽光発電システム最大手
- 2014年
- 【43歳】現在は、テスラモーターズ会長兼CEO、スペースX社のCEO兼最高技術責任者、SolarCity社会長。個人資産は110億ドル(約1兆2,000億円)
・・・・・・・・・とまぁなんともすごい経歴です。世界規模企業の経営者の経歴って、映画のようなあり得ないサクセスストーリーを持っている人がいますが、イーロン・マスクもそういった経営者のうちの一人ですね。12歳でソフト開発して売るとか次元が違います。しかも1983年です。常人には計り知れぬ先見性、努力や挫折、あとは少しの運も必要だったのかもしれません。いろいろなインタビューを読んだり見たりしていると、成功したことについてはとても謙虚に受け止めている人でした。やってることはとてつもなく大胆ですけどね。
イーロン・マスクの野望「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」
「私財を投じて人類の次の環境を考える。それが自分の使命」(イーロン・マスク)
「どうやったら人類に多大な影響を与えることができるだろうか、と考えていたことから始まります。人類の進歩に貢献するには、インターネット / クリーン・エネルギー / これは生産と消費両方ですが- ソーラーシティは生産で、Teslaは消費ですね。そして宇宙」(引用:「常に批判を求めよ。原理を疑え」"世界最高の起業家"テスラモーターズ・イーロンマスク インタビュー)
これまで、多くの企業を設立、または出資し育成してきたイーロン・マスクですが、彼を突き動かす原動力は何か?それは、彼のインタビューから見て取ることができます。彼の野望は「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」、この3分野で人類の歴史を変えることです。もうすでに全てにおいて行動を起こし実現してしまっているところがすごいです...。基本的原理で世界を見て「これはどういうことなのか、どうしてこうなのか」「私達が正しいと信じていることは真実なのか?」常識を疑うところが彼の発想や行動のスタートとなります。事業を推進していくなかで家賃が払えないほど破産寸前まで追いつめられたこともあるそうです。彼がそこまでしてやりたかった事業はどんなものなのか、以下に書いていきます。
インターネットショッピングに決済革命『PayPal』
「はっきりとやりたいことが明確だったわけではありません。ある時、新しいものを世に生み出すっていいな、と思ったんです。でもそれが起業することなのか、面白いことをやっている会社で働くことなのかはわかりませんでした。それが1995年で、インターネットは世界にものすごい影響を与えるものなんだと衝撃を受け、インターネットの世界でやっていきたいと志すようになりました。」(引用:「常に批判を求めよ。原理を疑え」"世界最高の起業家"テスラモーターズ・イーロンマスク インタビュー)
イーロン・マスクがまず注目したのがインターネット。『PayPal』という、今では、ネットショッピングには欠かせないオンライン決済サービスを生み出し、インターネットを使う人々の利便性を大きく向上させました。これは、インターネットの歴史を変えたといってもいいくらいの出来事です。「もっと多くの人が簡単にネット上でショッピングを楽しめるように」というシンプルな動機が裏側にはあります。
電気自動車時代の到来を加速させる『テスラモーターズ』
「未来の世界や 人類の将来に 最も影響する問題は 何だろうかと考えていました そして持続可能な輸送手段と 持続可能なエネルギー生成が 極めて重要だろうと 思ったのです 環境問題を 別にしたとしても 持続可能なエネルギーの問題は 私たちが今世紀中に 解決しなければならない 最大の課題です」(イーロン・マスク)
「自動車業界は、2つの先入観に囚われていたのです」「ひとつは市場性のある電気自動車など開発不可能だというもの。そしてもうひとつは誰も電気自動車など欲しがらないというものです」。(引用 : テスラモーターズのCEO、Elon Musk曰く「電気自動車業界に参入したのは、競合がなさそうだったから」)
「(スピードが出ず、長距離走行は無理などという)人々の認識を土台から変える車を作りたいと思った」「"セックスアピール"があり、技術的にも素晴らしい車を作ることで、(電気自動車に対する)認識を変えたかった」(引用 : 起業、チーム、失敗への恐怖--PayPal、Tesla、SpaceXのイーロン・マスク氏が語る)
「ガソリンとはお別れです。」(イーロン・マスク)
イーロン・マスクは、電気自動車の普及を強烈に推進しています。「環境に優しいから」そういった従来のお決まりの文句ではなく、まず「車はガソリンで走るもの」という常識をぶっ壊すために電気自動車の普及を推進しているように見えます。すぐにガソリン車がなくなることはないと思いますが、「ガソリンにするか電気にするか」そういった選択が普通にできる時代になろうとしています。テスラの電気自動車は満充電で500km近い距離を走ることができ、加速性能はポルシェ911に匹敵します。デザインも最先端で今ではレオナルド・ディカプリオ、ジョージ・クルーニーやマッド・デイモンなどハリウッドセレブたちが好んでテスラに乗り、価格面も今後低価格の電気自動車が増えてきますし、充電インフラも徐々に整いつつあります。
2026年までに人類を火星に連れて行く『スペースX』
「人類はいずれ地球に残るか、他の惑星に移住するかの選択に迫られる」「スペースX社が手掛ける宇宙船で人類を火星に連れて行く事は、2026年までに実現できる」(イーロン・マスク)
イーロン・マスクが手掛ける事業でもっとも壮大なものがスペースXです。「地球の人口は2050年には100億人なり環境破壊や食料・水不足は進み人類は地球以外の惑星に移住する必要が出てくる。将来的に人類を火星に送り生活できるようにしたい」。なんとも壮大な計画ですがスペースX社は着実に成果を出しており、民間起業としては初の宇宙ロケットで国際宇宙ステーションドッキングにも成功しています。
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以上、テスラモーターズを語る上で外すことのできないイーロン・マスクについて、書いてみました。彼は他にも、ソーラーシティという太陽光発電を手掛ける事業もやってるんですが、長くなってしまいましたし少々体力の限界が近づいてきたということで、それはまたいずれ機会があれば。。それではまた次回!