【デンマーク発】自然エネルギー普及にはEV電気自動車が欠かせない?
兵庫三菱Web編集局 駐デンマーク | 記事 : A.Nabeshima
配信日 : 2016年4月20日 14時00分 JST
デンマークってどこ?
兵庫三菱Web編集局ライターのNabeshimaです。4月から欧州のデンマークに来ています。デンマークってどこ?と思われる方も多いと思いますが、ヨーロッッパの北、ドイツの上にある小さな国です。ちょうど兵庫県と同じくらいの人口で、大国ではありませんが、デザインや家具、また環境政策や社会制度が進んでおり、先月発表された国連の幸福度ランキングでは1位になるなど、様々な面で注目されています。
これから約1年ほど、デンマークや欧州の様々な情報を、現地からお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
消費電力の42%が風力
日本では今月から電力の小売自由化が始まり、値段だけでなく発電方法まで選べるようになりました。なるべくクリーンな電力を選びたいという思いはあっても、現時点では値段や安定性の面でもまだ不安があるという方もいらっしゃると思います。環境先進国であるデンマークでは、早くから風力発電の開発に力を入れており、コペンハーゲン空港から市内へ行く途中、海上にずらっと並ぶ発電機を目にしました。
特に昨年2015年度は消費電力の42%が風力発電と、国内・世界のこれまでの記録を更新し、目覚ましい進展を遂げています。
「Denmark broke world record for wind power in 2015」 (ガーディアン紙)
政府は2050年までに化石燃料をゼロにするという目標を掲げています。こう聞くと、目標値ならなんとでも言えるように感じますが、風力発電の目標値は既に上回っており、2020年までに50%という中間目標にも着実に近づいていっているのがわかります。
V2G:Vehicle to Grid 電気自動車と自然エネルギーの新たな関係
風力発電をはじめとする自然エネルギーは、環境に優しく、事故の心配も少ないなどメリットも多くありますが、安定性に欠けるという大きな問題点があります。風を操作することはできないため、電力の制御や蓄電をするための専用の機器を使いますが、多くの手間とコストがかかります。
そこで注目されたのが、V2G(Vehicle to Grid)。電気自動車が電力の蓄電、放電を担う仕組みです。
デンマークの東端、バルト海にはちょうど淡路島と同じほどの大きさのボーンホルム島という島があります。ボーンホルム島では島全体にスマートグリッド(IT技術と自然エネルギーなどの発電方法を組み合わせた電力供給網)を構築し、電気自動車とも連携するプロジェクトが行われました
風力発電による余剰エネルギーを電気自動車に蓄え、場合によっては電気自動車から電力網に戻すというものです。例えば風力発電は夜間の供給量が需要よりも多く、余剰エネルギーを捨てざるを得なかった一方で、電気自動車の充電は一般に夜間に行われます。コンピューターで二者のバランスを管理できれば、どちらにとってもウィンウィンでクリーンなエネルギー循環が実現するというものです。このプロジェクトは2009年より3年かけて行われ成功に終わりましたが、さらなる課題に向けて研究が続けられているようです。
国の規模が小さく、意識も高いため、何事も早めに取り掛かり着実に成果を出していくデンマーク。自然エネルギーと電気自動車の次世代コラボレーションが世界に先駆けてどのように広がりを見せていくのか楽しみです。
Edison(公式web)
「電気自動車の蓄電池を電力系統につなぐ試み始まる」 (エコロジーオンライン)
おまけ
日本では桜の季節はとっくに終わってしまってもうすぐ新緑シーズンでしょうか。デンマークはまだ肌寒く、暗い日が多いですが、少しずつ春の兆しが見えてきました。首都コペンハーゲンでは今週が桜の見頃です。
日本の桜よりもピンクが強いですが、街並みにとても合っていました。デンマークに桜?と私も驚きましたが、日本のパン屋「アンデルセン」さんが200本寄贈したものだそうです。数年ほど前までは無名で見にいくのは日本人くらいだったそうですが、今では超人気スポットとなり、多くの人がお花見に来ています。